定休日だった。
ムスメたちを遊びに連れて行くと言って喜ばせていたプールが定休日だった。
それに気が付いたのは、事もあろうか出発直前。
何度も見ていた施設の営業日カレンダーは、結果何度も見間違えていた。
なんてこった。
定休日なのに、ムスメたちが起きる前、ツマにだけ聞こえる小声で「今日この子たちプール連れて行ってくるね」とか言って気取ってた。
定休日なのに、「今日は家庭保育します」とか偉そうに保育園に電話してた。
定休日なのに、ムスメたちが起きた後は「今日プール行く人〜?」とか偉そうに仕切ってた。
定休日なのに、シャワーを浴びてカッコつけてヒゲを剃ってた。
ワタシはこの行動の全てに冷や汗をかきながら、必死にパソコンで穴埋め出来そうな遊び場を検索した。
「なんで?なんで休みと?」
後は靴を履いて出発!という所で急展開した事態に、つむぎの冷めた言葉のナイフを背中に突き刺さしながらワタシはパソコンを凝視した。
どこもコロナコロナで営業中止の中、やっとの思いで面白そうな水遊び場を発見!
車で30分程だし、ひかりくらいの小さい子も遊べる!
実際行ってみて、微妙だったら即行先変更を覚悟してとりあえず出発!
到着すると…
天気よし!ロケーションよし! 平日って事で人混みの無し!
想像を超えた大当たり!
実際の気温は36度まで上がっていたが、滝が流れていた事もあり体感は全然暑くない。
水温もぬるいくらいで体も冷えない。
到着してすぐに遊び出すつむぎと、寝起きで様子見のひかり。
週末は車を止められない程混雑するらしいが、今日は全く。
のびのびと浮き輪で泳ぎ回るつむぎを見ているうちに、ひかりも出動。
途中、昼ごはん休憩を挟み午後からも第2ラウンド開始。
もうすっかり朝のワタシの失態は忘れてる事だろう。
「いや〜、プールなんかさ、結局水があるだけで何もないけど、ここはいいね!自然もいっぱい!滝もあるし魚も泳いどう!こっちの方が良かったやん!」
都合よく記憶を塗り替える作戦開始。
午後の部はカメラも車内に置き、ムスメたちを全力で楽しませる事に専念。
ムスメたちよ、川遊びだけと思うなよ。
近くにあった、女性が1人で経営していると思われるカフェに潜入。
いでよ!かき氷!
その女性店員が愛想よく持って来てくれたかき氷に、ムスメたち釘付け。
はい、心鷲掴み。
もう問題はない。
安心したワタシは、のんびりアイスコーヒーをオーダー。
一杯600円。
最近は外出が減り、コンビニのコーヒーが平均ラインになっているワタシには少々お高め。
でもまあいい。
周りにコンビニもなく、人が集まる場所にある甘味処の値段設定なんてこんなもんだろう。
ムスメたちのかき氷と同じタイミングで、サッと出してくれればそれでいい。
後はかき氷を食べるムスメたちを見ながら、ゆっくりコーヒーを飲んでフィニッシュ。
肝心なのは、朝のワタシの失態を完全に忘れさせる事。
そう思っていたのに、かき氷到着後いくら待ってもコーヒーが来ない。
もの凄い勢いでムスメたちの口の中に消えていくかき氷。
〈オーダー漏れか?それならキャンセルしようかな?〉
そう思っていた所、奥の方から満を持してマスター登場!
雰囲気のあるマスターが、じっくりじっくりとコーヒーと向き合っている。
食べ終わったかき氷。
ムスメたちから漂う『早く帰ろうぜ』の雰囲気。
そして運ばれてきたアイスコーヒー。
有り難くも悲しい、値段相応のコーヒー到着。
マスター…
あの時、特に味わいもせずに一気飲みしたのはこう言った背景があったからです。
とても美味しかったんだと思います…。
必ずまた行きます…。
帰りの車内は2人ともすぐに夢の中へ。
朝はワタシの大失態だったけど、結果それ以上に楽しめたんじゃないかと思う。
家に着き、先にシャワーを浴びていると聞こえてくる
「ママー!今日楽しかったー!」の声。
ホッと胸を撫で下ろし、つむぎから先に洗おうとお風呂場へ呼んだ。
ニコニコと入ってくるつむぎ。
ニコニコと迎え入れるワタシ。
『パパ、プールはまた今度やり直しね』
開口一番、そう言われた以降の記憶がない。
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