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子育て

父、余裕の優越感。

今朝つむぎを保育園まで送ると、他の園児は既に園庭で遊んでいた。

昨日は週末の体調不良を引きずってまだ微熱があった為、保育園を休んだつむぎは今日から新たな1週間の保育園生活がスタート。

週の始まりは布団のシーツ入れを始め、いつもより朝の準備をする事が多い。

「パパやっとくけんこのまま外で遊んどっていいよ」

ワタシがそう言っても「いや!一緒する!」と言って、つむぎはワタシの手を握り教室まで同行した。

「いや!一緒する!」

こう言うのが分かっていて聞いたワタシは、例え卑怯だと呼ばれたとしても、この手を握って来てくれるひとときを楽しみたかった。

そして週の始まりは決まって甘えモード。

「抱っこしてよ〜」

階段を登るだけでワタシにくっついてくるつむぎ。

「おいおい、周りで人が見てるぜ」

照れ臭そうに周りを見渡すワタシ。

デート。

これは完全にデートとしか言いようのない雰囲気。

教室に着くと、水筒やハンカチ、布団のシーツの準備を終わらせ、わずか10分程の儚いデートを噛みしめるように、つむぎとワタシはまた手を繋いで園庭へ向かった。

「つむちゃ〜ん!」

外に出るなり1人の男の子が元気に近づいて来た。

覚えているだろうか。

ツマ曰くつむぎの初恋の相手、〇〇くんだ。

恋敵。今朝のワタシは、「パパの顔」というよりも、 もはや「父の顔」で、つむぎを保育園まで送った。 目的はただひとつ。 そう、...

さっきまでデレデレとしてたパパの顔から、キリッと父の顔に切り替えた。

「〇〇くん、おはおう」

まずは言葉の先制パンチ。

「おはよう!」

すかさず相手も言葉のパンチを打ち返してきた。

〈お、威勢がいいな〉

そう思い、体勢を立て直して再びファイティングポーズをとろうしたワタシに対し、〇〇くんはワタシを開始早々マットに沈める勢いで猛打してきた。

「つむちゃんと遊園地行くの」

「つむちゃんと新幹線乗るの」

「つむちゃんと水族館行くの」

「つむちゃんと…」

気持ちを込めた言葉のパンチの数々。

男と男の勝負に年齢は関係ない。

だが、すまない〇〇くん。

自分でもびっくりするくらい、今日はその言葉のパンチがスローモーションに見え、当たったとしてもスポンジの様な柔らかさに感じる。

ダメージはひとつもない。

むしろ可愛いとすら思える。

その理由は、今週末に迎えるつむぎの4歳の誕生日にある。

以前から誕生日に欲しいものを尋ねると、「カワイイ包丁が欲しい」と、つむぎは決まってそう答えた。

「なんで包丁が欲しいと?」

ツマが聞いたこの質問の答えにこそ、このワタシの心の余裕の秘密が隠されていた。

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つむぎは当然の様な表情で口を開いた。

「パパに料理作ると!」

もう一度書いておこう。

「パパに料理作ると!」

こんな喜びはあるだろうか。

いくら言葉のパンチを浴びても、この『優越感』がワタシの心を強くしてくれた。

「またね。たくさん遊んであげてね」

ワタシは余裕でそう言い残し、保育園を後にした。

夜仕事から戻ると、つむぎがまた紅葉した葉っぱを「プレゼント」と言って持て帰ってきていた。

まだ本人は知らないけど、つむぎへの包丁のプレゼントももう準備してある。

この包丁を使って切った全ての食材に、ワタシはいちいち感動するんだろうな。

とりあえず、初めての『手作り料理』は、ワタシが美味しくいただきます。

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サノパパ
ご覧いただきありがとうございます。 福岡より、ツマとムスメとムスコとワタシの、毎日『予定通りではない』日常を綴っています。子育ての楽しさを共感していただけたら嬉しいです。 長女 : つむぎ 次女 : ひかり 長男 : きよいち - パパはタノシイ -
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