遂にこの日が来た。
今朝はツマもワタシも穏やかではない。
ムスメたちへ向ける笑顔も、今考えればどこかぎこちなかったかもしれない。
気持ちに余裕がなかった。
来月に行く、年に1度のお楽しみ、ディズニーランド旅行まで今日がちょうど1ヶ月前。
つまり、『ショーレストランの予約争奪戦の日』
顔の見えない猛者たちが、各パソコンやスマホの前で闘志を燃やしている。
パソコンの画面越しに、熱気が伝わってくるのが分かる。
開始のゴングが鳴るのは朝9時。
昨日の前日予行練習は、ワタシはつむぎを保育園に送っている時間だからツマが挑戦してみたところ、見事敗退。
ワタシが家に戻り、ツマに様子を尋ねると、「一瞬だった」のひと言。
驚きが隠せなかった。
ツマもワタシも、この争奪戦への参加は初めてではないし、イメトレも重ねてきた。
それが、それが一瞬で負けるとは。
その晩、ゆっくりと深呼吸をし、何度も何度も、東京ディズニーリゾートの予約ページとにらめっこをしては、どの検索の仕方が1番早いかを模索した。
迎えた当日の今朝、つむぎは保育園を休ませた。
つむぎもこの1年間、ずっと次またミッキーに会える日を楽しみに過ごしてきた。
これはツマとワタシが用意した旅行に、ただ連れて行けばいいというものでない。
そして、ひかりはまだ小さくて出来る事も限られるし、つむぎもアトラクションに乗る為にずっと並で待つのは我慢が出来ないだろう。
だから、ただディズニーランドに行ければいいわけでもなく、
『ショーレストランでじっくりミッキーに会わせたい』これが最大の目的だ。
その為に、この、見えない猛者たちとの戦いを勝ち抜く為に、家族全員で戦う必要があった。
戦いの10分前程からワタシはパソコンの前に座り、来るべき時に向けて準備を整えた。
今年は、パソコンでネットのブラウザを2つ立ち上げ、更にスマホとiPadの計4つで挑んだ。
机の上のデジタル時計がゆっくり時を刻んだ。
「5秒前!」ワタシはツマとムスメたちに向かって叫んだ。
4、3、2、1。
一瞬だった。
トラウマになりそうなこの画面が、いや、全国の猛者たちのパンチが何度もワタシにヒットし、頭がクラクラしそうになった。
だがそう簡単に倒れる訳にはいかない。
この1年、ワタシもボーっと過ごしてきた訳ではない。
家族を愛し、ムスメたちの笑顔を見る為の日々を送ってきた。
「パソコンでこっちのブラウザがダメならこっちのブラウザ!それでもダメならスマホ!それもダメならiPadはどうだ!」
ショーレストランの予約、これはもう格闘技だ。
精神的にはもう数時間くらい経ったように思えた。(実際は10分くらい)
手元のiPadに、『予約』の文字が出た。
ワタシは、無心で、ただ素早くiPadを人差し指でつついた。
意識はもうほとんどなかったと思う。
気力だけだった。
我が家は見事権利を勝ち取った。
そして皆んなでこの勝利を喜んだ。
すぐにYouTubeでショーの様子を検索し全員で鑑賞。
「ここに行くぞー。」
そう呟きながら、画面に釘付けのムスメたちの笑顔を見て飲む今朝のコーヒーが、忘れられないくらい美味しかった。
我が家のディズニー旅行はもうすでに始まっている。
あとは現地に到着するまでのワクワクを、この1ヶ月でたくさん準備しておこう。
とにかく、無事に予約が取れて良かった。。
きっと家族の愛の力のおかげだ。
ホッと一安心すると、ふと目の前に置いていた、つむぎが保育園で作ってきたカエルと目が合った。
カエル、かえる、買える。
まさかとは思うけど、ありがとう。
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