ひかりは照れ屋な性格なのか、先に生まれたつむぎに気を使っているのか、ワタシに近づいて甘えてくる時は、いつもこっそり。
ワタシとしては、基本ママっ子のひかりが甘えてきてくれるなら、こっそりだろうが堂々とだろうがどっちでも関係なく嬉しい。
パソコン仕事のワタシの必需品のひとつに「ホットアイマスク」がある。
寝る前にこれを使い出してもう長い事が経つが、もれなく全敗中。
1度もこの温もりに耐えて、起きとけた事がない。
「今日はホットアイマスクしても眠れんやろうな」と思って布団に入った日でも、数分後には夢の中。
だから、眠りにつくのがいい分、目覚めも悪くない。
目覚めはいい訳ではない。
悪くはない。
なぜ「悪くはない」なのかには理由があって、それは朝起きたら急に目に何かをしているワタシを、不思議がりながらも面白がるムスメたちが、猛烈な勢いでホットアイマスクを引きちぎってくる。
猛烈な勢いの為、当然目の周りや耳の周りを思い切り叩かれる。
これが朝の寝起きドッキリになってしまっているから、「悪くはない」という評価。
これがなければ絶対に目覚めはいいのだろう。
度々こうやって襲われ続けると、体はちゃんとその環境に合わせて変化していくもので、最近はゴソッと布団が動く音や、ムスメが近づいてくる気配で目が覚める。
今朝も同様に、ホットアイマスク越しに感じるムスメが近づいてくる気配で目が覚めた。
〈どっちが来る?〉
この瞬間ワタシは身構える。
ひかりはまだ力も弱いから、思い切り叩かれても「痛い!」と声を上げる程度で済む。
これがつむぎの場合は「痛い!」の声も出ない。
シンプルに心臓が飛び出そうなくらいビックリする。
〈どっちだ?ソフトか?ハードか?〉
…
「ぺちん。」
〈ソフトだ!〉
小さな手で、丁寧にホットアイマスクは引きちぎられ、ワタシはひかりと目があった。
「今日はひかりか。おはよう。」
私が笑って声をかけると、ひかりもニコッと笑って返した。
ツマもつむぎもまだ眠っている。
ひかりはゆっくりと近づき、例のごとくこっそりと甘えてきた。
〈おいおい、こっちの方が心臓に悪いぜ〉
そんな事を思いながら、ワタシはデレデレとニヤけた。
這って来たひかりはワタシの隣で寝転び、ゴロッと仰向けに。
まさに、動物が仰向けで寝る時に人間に向けて送る、「安心と信頼」のサイン。
「ひかり…」
このチャンスを逃すまいと、ワタシは逃げられないように優しく優しくひかりをなでた。
上目遣いのひかりと目があった。
「あ、可愛い。」
そう思った次の瞬間。
「パパ」
確かにそう聞こえた。
おーーーーっ!!!
今言ったな!「パパ」って言ったな!
おーーーーっ!!!
ワタシは完全に心を撃ち抜かれた。
恋のキューピットが持っているような、あんな細い弓矢なんかではなく、どデカイ恋のバズーカーで思い切り撃ち抜かれた。
遂に、今の所その1回だけだけど、ひかりに初めて「パパ」って呼ばれた。
本当は「パパ」とは言っていなかったのかもしれなくても、その時誰も聞いていなかったし、ワタシにはそう聞こえていたからそれでいい。
清々しい1日の始まりだった。
ツマとつむぎが起きた後、ひかりとチラッと目が合うと何だか照れくさそうな顔をしている様にも見えた。
誰も見ていなかったし、ワタシにはそう見えてていたからそれでいい。
ムスメに初めて「パパ」と呼ばれた、2回目の初体験。
愛おしさが止まらない。
そんなひかりは、下の歯茎から2本目の歯が生えてきて、絶賛歯茎がかゆい中。
もう、全部愛おしい。
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